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著者:ターハル・ベン・ジェルーン
訳者:西山教行子(にしやまのりゆき)
出版社:柏書房
発行日:2022年12月10日
判型:四六判、ソフトカバー
ページ数:204
モロッコ出身のフランスの作家・詩人である著者が、娘の疑問に答える形で進行する、テロリズムの本質を知るための学びの1冊。
テロリズムはなぜ発生するのか、人々はテロリズムの何に不安を覚え、恐怖を抱くのかなどについて、心理学的、歴史的、社会学的なアプローチを試みながら、現代社会が抱える矛盾や不条理のありかを突き止めていく。
本書において著者は、おもにイスラームとのかかわりをテーマにしながらテロリズムを論じている。その内容は、豊富な脚注によって補足され、読者のより深い理解へとつながる。
「訳者あとがき」より引用
この世界で私はたまたま日本人に生まれ、日本に暮らしている。テロの発生する国に生まれたり、テロリストとなる環境に生まれなかったりするのは偶然にすぎない。そのような眼差しに立つならば、社会を恐怖に陥れるとともに、その矛盾を顕在化させるテロリズムという課題は必ずしも他人事ではないことに気づくだろう。日本社会は社会の表層を見る限り、平和を十全に享受しているように見える。しかし社会の矛盾や閉塞感は思いもよらない暴力を生み出す。その一端は二〇二二年七月八日に炸裂したのかもしれない。
目次
序文 子どもたちにどのようにテロリズムを語るか
ある日のこと
翌日には
二日後に
最後に
あとがきとして
訳者あとがき
「著者」プロフィール(柏書房、ホームページより引用)
ターハル・ベン・ジェルーン Tahar Ben Jelloun
1947年生まれ。モロッコ出身のフランスの作家・詩人。『聖なる夜』(菊地有子訳、紀伊国屋書店)でゴンクール賞受賞、『あやまちの夜』(同)で国際IMPACダブリン文学賞受賞。主な邦訳作品に『歓迎されない人々――フランスのアラブ人』(高橋治男・相磯佳正共訳、晶文社)、『砂の子ども』(菊地有子訳、紀伊国屋書店)、『気狂いモハ、賢人モハ』(澤田直訳、現代企画室)、『娘に語る人種差別』(松葉祥一訳、青土社)、『子どもたちと話すイスラームってなに?』(藤田真利子訳、現代企画室)、『アラブの春は終わらない』(齋藤可津子訳、河出書房新社)、『火によって』(岡真理訳、以文社)、『噓つきジュネ』(岑村傑訳、インスクリプト)など。
「訳者」プロフィール(柏書房、ホームページより引用)
西山教行 Noriyuki Nishiyama
1961年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専門は言語教育学、言語政策、フランス語教育学。編著書に『多言語化する学校と複言語教育』(共編、明石書店)、『現代フランス社会を知るための62章』(共編、明石書店)など、訳書にフランソワ・グロジャン『バイリンガルの世界へようこそ』(監訳、勁草書房)、マルティンヌ・プレッチェル『異文化間教育』(白水社)、クロード・トリュショ『多言語世界ヨーロッパ』(共訳、大修館書店)など。