
2017年11月に発売されたレアード・ハント著『英文創作教室 Writing Your Own Stories』。
今井さんコメント
「欧米の一部の大学には、小説の書き方を教授する創作科というコースがあります。実際にそんな創作科で教鞭をとるアメリカの小説家レアード・ハントの授業を紙上で、日英対訳で体験できる本です。具体的には、小説を書き始めるヒント→学生による創作→ハント先生によるアドバイス→学生による改訂版→さらなるハント先生のコメントといった具合に展開します。「模範作品例」も載っています。小説の書き方を知ることで、ちょっと違う角度から小説を読むヒントにもなります」
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版元HPより
どんなに世界が失われてしまっても、僕らはみんな、この世界を生み直せる。それも、言葉で。もしかしたら、英語で。ひとりひとりが周囲を「観察」することが、大きな「洞察」をもたらすことなのだと、心優しい教師・レアードが言っている。この教室に入ろう。――古川日出男
自分の言葉で書く、ということに――特に英語でそうすることに――興味がある人は、ぜひこの本を読んでほしい。興味がない人も、読んで興味を持ってほしい。どちらにしろ楽しい経験になるだろうし、読みおえるまでに、ずいぶんいろんなことを学んでいると思う――柴田元幸
目次
まえがき ● 柴田元幸
本書について
第I部 物語を書いてみよう
第1章 今けさ朝起きてから目に入ったものを描写しよう
デイヴィッド・グレアム「天井の飾り物」
田辺恭子「雨」
第2章 写真から物語を
レイチェル・パーカー・マーティン「ハシュ」
菊池裕実子「祖父の挨拶」
第3章 君の人生、君の経験、君の物語
トニ・ロクサーヌ・オズワルド「バーバラおばさん」
田島幸子「焼き林檎の甘くて苦い思い出」
第4章 悲劇のあとに書く
ブレイク・ガフィ「侵入」
今井亮一「鎌倉」
第II部 改稿版
第III部 創作集
レアード・ハント「鯨の脚」
チャールズ・シミック「私はなぜある種の詩をその他の詩より好むか」
レベッカ・ブラウン「天国」「見ることを学ぶ」
レアード・ハント「雪と金槌のある静物画」
あとがき ● レアード・ハント
〈著者・編訳者紹介〉
著 者:レアード・ハント(Laird Hunt)
シンガポール生まれ。サンフランシスコ、ハーグ、ロンドンで育ったのち、インディアナの家族代々の農場に住む。インディアナ大卒業後、ナローパ大創作科で芸術修士号を取得し、ソルボンヌでフランス文学を学ぶ。東京、ニューヨークにも住み、ニューヨーク国連の報道課勤務時に最初の長篇小説を執筆。現在コロラド州ボールダー在住、デンヴァー大学創作プログラム教授。これまでに『インディアナ、インディアナ』『優しい鬼』(朝日新聞出版)、『ネバーホーム』(2017年12月刊行予定、朝日新聞出版)、The Evening Road など長篇7篇を刊行。作品はこれまでフランス語、イタリア語、英語に訳されており、自らもフランスの小説を翻訳している。
編訳者:柴田 元幸(しばた もとゆき)
東京大学名誉教授。ポール・オースター、レベッカ・ブラウン、スチュアート・ダイベック、スティーヴ・エリクソン、ケリー・リンク、スティーヴン・ミルハウザー、トマス・ピンチョン、レアード・ハントなど現代アメリカ文学の翻訳多数。文芸誌『MONKEY』、および英語文芸誌 Monkey Business 責任編集。2017年、早稲田大学坪内逍遙大賞を受賞。